メインコンテンツにスキップ

金属射出成形が小物部品に大きなインパクトを与える

ハイテクデバイスから医療機器まで、あらゆる設計において小型化は最重要課題です。電子部品は小型化の対象であることが多いのですが、機械部品も小型化が必要です。

これは決して小さな課題ではありません。スペースが縮小するにつれ、部品のサイズは小さくなりますが強度は維持しなければなりません。許容範囲が狭くなるので、複雑な形状を製造するのは難しくなります。しかも、コストと市場投入までの時間は最低限に維持しなければなりません。

そのような部品を製造する方法として、多くのエンジニアは機械加工やインベストメント鋳造、さらには粉末冶金を考えるかもしれません。しかし、どういうわけか多くの大学の工学部では見落とされている、長年にわたって活用されてきた既存のプロセスがあります。それは金属粉末射出成形法、MIMと呼ばれるものです。

この製法が見落とされているのは残念なことです。というのは、複雑で小型化した部品を、プラスチック射出成形を設計したことのある人なら誰でも知っているプロセスで製造できるからです。

MIMは、卓越した表面仕上げで、極めて腐食に強く、強度が高い優れた完成品を実現できます。複雑な曲線や形状、穴、小さな半径、ロゴ、文字などを施すことが可能な単一の成形プロセスで、そのような利点をすべて実現できるのです。MIMは、インベストメント鋳造を施すので、経済的にも大きく節約できます。

このアプローチは、半貴金属粉とポリマークレイを混ぜ合わせたメタルクレイを使って、趣味でジュエリーを作る方法に似ています。材料を混ぜ合わせて、時には型を使って、どんな形にでも自由に作ることができます。

MIMはこれよりは複雑ですが、基本的には同じです。金属粉と高分子接着剤をおおよそ60対40の割合で混ぜたものを使用します。加熱すると、この粉と接着剤が一体化し、その後冷却します。そうして粒状の成形用原料になります。

材料となる可能性がある金属には、ステンレススチール(17-4、316、420)、低炭素鋼(FN02、FN0205、FN08、4620、4140、8620)、軟磁性(FeSi3、FN50)、工具鋼、制御拡大合金、耐熱合金などがあります。

このプロセスは、小さな完成品または部品に最適で、大まかにはテニスボールやラケットボールより小さいサイズでなくてはなりません。壁面は同一の形状で、0.030インチから0.250インチの厚さでなければなりません。通常、製造公差は0.5%ですが、もっと小さな公差が必要不可欠な場合は、部品の何らかの部分を少し拡大して、機械加工で縮小することができます。

MIMが提供する競争力のある利点には、以下が挙げられます。

  • 機械加工より優れた点 - より軽量で硬いスチールが可能で、より複雑な単一部品として部品を統合することが可能。低コストで工程数が少ない。
  • インベストメント鋳造より優れた点 - より薄い壁面、なめらかな表面仕上げ、二次機械加工が少なく、より小さな穴が可能。短いリードタイムで大量製造が可能。
  • 粉末冶金より優れた点 - より複雑な部品が可能、より薄い壁面、部品の統合、高密度、高強度、より優れた耐腐食性。

生産前の設計工程は、プラスチック射出成形で予測できるものと同様で、当初の設計、製造可能性の確認、成形設計、初期サンプリングなどが含まれます。

原料を作成した後は、MIMプロセス自体は単刀直入で、成形、2段階の脱脂、焼結となります。

画像

1. 成形 - 原料を加熱し、正しく設計した型に入れて成形機に入れます。成形には、現実的にムダがありません。余剰材料は粉砕されて原料に戻ります。そのため非常に高い効率性を実現します。一貫した費用対効果の高い高度なオートメーション化が、さらに効率を上げます。部品は成形から取り出され、次の工程へと送られます。

画像

2. 脱脂 - この工程では、ほとんどの高分子接着剤を取り除きます。まず、高分子触媒を導入し、加熱して、母材が原料の金属の部分を維持できる程度に90%の接着剤を取り除きます。

3. 焼結 - 最後は、部品に数段階の加熱加工を施します。低温で加熱し、残りの10%の高分子接着剤を取り除きます。温度が上がると、金属粒子が溶けて一体化し、孔を減らしながら固形の金属構造になります。部品が焼結されたら、追加の手順や工程(加熱、機械加工、コーティングなど)を経て完成品となります。

信頼できるMIMのパートナー

これまでMIMを使用したことがある企業でも、初めての企業でも、モレックスのグループ企業であるフィリップス・メディサイズは、卓越した製造パートナーとなります。当社は、金属粉末射出成形法に関する数十年の経験を備えており、場合によってはわずか数週間という短期間で、高品質のMIM部品を迅速に製作することが可能です。

当社は北米最大の脱脂・焼結能力を備えています。オートメーションで労働力を削減し、部品の一貫性を高めます。社内で型を構築するので、型のライフサイクルを通してメンテナンスできるようになっています。現地のサプライチェーン提携各社が二次加工を行います。

当社のシステムは、ISO 9001、ISO 14001、ITAF、ITARを遵守しています。公差は、二次加工なしでプラスマイナス(+-)0.002インチまで可能です。完全なエンジニアリングサービスを備え、設計・プロジェクトエンジニアリング・原料選択・製造・品質管理・素材要件を遵守するための製造試験など、プロセス全体を通してサポートします。

MIMの利点とユースケースの詳細については、ホワイトペーパー「金属粉末射出成形法による低コストできめ細やかな製造」をご覧ください。または、フィリップス・メディサイズの高精度金属製造能力のフルラインナップをご覧いただき、日々「可能性を実現する」当社の取り組みをご確認ください。