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ソフトウェア定義自動車:イノベーションと差別化への道

自動車分野では、ソフトウェア定義型車両の導入が順調に進んでいます。実際、機械部品に加えてデジタルスマートへの依存度がますます高まることで、ドライビング体験は飛躍的に進歩します。

シームレスな運転者支援からインフォテインメントや先進のコネクティビティまで、ソフトウェアは未来の車の重要な成功要因です。ソフトウェアとエレクトロニクスに対する依存の増大により、今日、1億行ものソフトウェアコードを含む自動車も稀ではありません。これは2010年において一般的であった量の10倍です。

モレックスが最近実施した「未来の自動車」についての調査によれば、自動車業界の意思決定者の60%が、ソフトウェア定義自動車は2030年の自動車を構築する一番のイニシアチブとなるだろう、と答えていることは驚きに値しません。その他の結果:2030年までに、ほぼすべての車が何らかの形の自動運転機能を実装します。最もありそうな標準機能トップ10のリストの中で、車からモバイルデバイスへの統合と、車両間の接続が挙げられていました。

モレックスが2016年に、コネクテッドモビリティソリューション事業部門を新設した際、その構想は、当社の有線および無線通信技術における膨大な専門知識を駆使して自動車の接続性の課題を解決し、シームレスなユーザー接続エクスペリエンスを提供するというものでした。私たちはこの構想の実現に今も熱心に取り組んでいます。

OTAはハードウェアのアップデートを置き換える

自動車業界の進化におけるソフトウェアの突出ぶりを早期に示したものの1つが、OTA(over-the-air)更新の採用増加でした。テスラは2012年にそのモデルS車両でOTAソフトウェアパッチ基準を作ることにより、自動車の歴史を塗り替えました。以来、OTAは自動車の機能性、セキュリティ、安全性を向上させることを証明してきただけでなく、長期的な車の価値を確保する上でも役立ちました。

今日、中古のテスラでも当然のようにプレミアム価格がつくのは、この機能によるところが大きいのです。車は、その価値が現在の機能に依存しなくなると、ディーラーの敷地を出てすぐに価値を失うということが起きにくくなります。逆にOTAは、最新の機能強化とアップグレードで車のオーナーに投資に対する将来の保証を与えます。最初の購入から何年経っても、潜在的フィックスがOTAにより有効化されます。

ソフトウェアを運転席に取り付けることにより、自動車メーカーはサービスと信頼性、機能拡張までも再定義することができます。私たちは現在開発中の自動運転車にもこれを見ることができ、トランスフォーメーションは自動車の機能と外見において明らかとなっています。ひとつの例がアウディEトロンです リアビューミラーの代わりに、この全電化高級クロスオーバーカーは、カメラを使用してドライバーの後方のビューをコックピット画面に表示します。他の自動車イノベーターはアウディの例に追随しています。

ハードウェアは今でも重要

モレックスは、安全機能から高い信頼性までソフトウェアがすべてを推進し、ドライバーのエクスペリエンスを大幅に向上させていると考えています。ソフトウェアはすべてのアプリケーションを有効化し、機能上の優先順位とタイミングを設定し、性能をモニタリングし、必要なアップデートを提供し、自動車はそれに対応します。将来、人々が車を選ぶとき、決定は単に経済的なものだけではなくなり、機能や接続性に基づくようになるでしょう。

しかし、2030年までにどれほど自動車のソフトウェアが進歩したとしても、ソリューションはハードウェア上で動作しなくてはなりません。ソフトウェアは半導体、相互接続デバイス、アンテナ、ライダー、カメラ、無数のセンサーなどのハードウェアに新しい要求を突きつけます。これらはシームレスに接続しなければならず、完璧に統合されなければなりません。

当社はパートナーおよび顧客と密接に連携し、コネクテッドカーに搭載されるすべてのテクノロジーがシームレスに相互運用できるよう尽力しています。すべてがソフトウェア本位ではありませんが、どのようにソフトウェアを統合するかは、この先進機能を可能にする上で鍵となります。すべてがうまく連動することを証明しつつ、車両設計を検証して相互運用性を確認し、加速する開発サイクルの要求を満たすには、増加しているソフトウェアシミュレーションが最良の方法です。

新たなテック企業との競争と帯域幅の重要性

2030年の車両におけるソフトウェアの役割を考えると、従来の自動車OEMは、巨大IT企業であるMicrosoft、Amazon、Google、IBM、Dellなどとの競争に直面し、それらの企業と協働作業を行うことになるのは当然です。モレックスは、エンタープライズネットワーク、通信、データ・センター市場の高速伝送接続要件のサポートを成功させてきた長い実績があるため、このエコシステムを熟知しています。

テクノロジー大手各社および大手自動車向けシリコンサプライヤーとの共同作業は不可欠です。主な業界基準設定組織への積極的な参加も同様に不可欠です。このコミットメントによってモレックスは、チップ性能の最適化においてますます大きな役割を果たすことができるようになりました。実際、当社が開発している多くの参照用チップ設計は、現在車載用グレードに変更され、モレックスを、テクノロジー分野の支援を提供し車載用チップの将来の要件を定義する強い立場にしました。

ソフトウェアは2030年の車において大変革をもたらす要因として新たに登場していますが、ソフトウェアだけでは十分ではありません。車両のハードウェアを考慮して設計を行うことのできるソフトウェアエンジニアが必要です。信頼性が高く、高速伝送接続の可能な接続インフラストラクチャも必要です。

自動車および接続に関する専門知識と経験を持つモレックスは、すべての前線でパートナーとしてサービスを提供できます。これには広帯域幅ケーブル、当社の無線および有線コンスーマ向けデバイスのシームレスな接続性、そして大手モバイルアンテナ技術を先導するテクノロジーが含まれます。結局、当社は今後も最大限の接続性をサポートすることによってのみ将来のソフトウェア定義自動車を実現します。