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未来の電話を形づくるものは?

モバイルコンピューティングデバイスは、1980年にPSIONが初めてパーソナルデジタルアシスタント(PDA)を発売して以来、長きにわたって利用されてきました。タッチスクリーン型の携帯電話が登場して以来、至るところで使われるようになり、生産性を高める頼れるパートナーとなって、いつでもどこでも友達や家族と繋がり、仕事にも利用できるようになりました。2020年には、世界中で60億台のスマートフォンが使われており、これは世界の人口の78%が1台所有していることに該当します。さらに、スマートフォンの導入は今でも増加しており、2024年には台数は70億台以上に達すると見込まれています。このポケットスマートコンピュータは、現代の生活に深く組み込まれており、ますます使用され価値が付加されることで、さらに技術的な進歩を遂げながら、この勢いが続いていくことは必至と言えるでしょう。では、スマートフォンの未来はどうなるのでしょうか?

未来のモバイルデバイスの像を描き出すにあたり、モレックスはスマートフォン業界の200人以上のハイレベルな意思決定者、サプライヤー、メーカーにアンケートを行い、将来のモバイルフォンについて、またはその代替品についてどのようなものであると考えているかを質問しました。その結果では、差し迫った変化が起こる可能性のあるいくつかの重要な分野が明らかになりました。

状況を覆すAR

5G、自動充電、内蔵バイオセンサーなどの機能や、耐環境携帯電話が強く求められている一方、拡張現実(AR)も強化が期待される分野のひとつとなっています。これが実現するかどうかはまだわかりませんが、この唯一無二のテクノロジーの巨大な可能性によって、携帯電話を通して人が環境に接する方法に革命が起きることは明らかに期待できます。

アップル、グーグル、フェイスブックなどの大手各社も同意見です。フェイスブックは9月9日に、レイバンストーリーズを発売してARへの最初の一歩を踏み出しました。299ドルで発売された第一世代のスマートグラスにはARは搭載されていませんが、その方向に向かって一歩進んだことを示しました。レイバンのクラシックなウェイファーラーフレームを使ったもので、ユーザーは写真や動画を撮影する、音楽を聴く、通話することができます。

ARの勢いを推進するために、フェイスブック、アップル、グーグルは揃ってデベロッパーにオープンソースのARツールキットを提供しました。アップルはARKit、グーグルはARCoreで、現在構築されているアプリにARを組み込むことを可能にするものです。アップルのティム・クックはこのテクノロジーのファンで、2019年には、ARがアップルの未来に極めて重要であると語りました。「ARと機械学習は、正しい情報を、正しいタイミングで、正しい対象者に伝えるカギとなるはずです」と述べています。グーグルも、最新型の携帯電話にデュアルカメラを導入し、AR機能を向上させました

今が良いタイミングでもあります。パンデミックによって、AR駆動のオンラインショッピング、学習、医療を使い始めた人々が増え、商品・コンセプト・経験などを意外な形で視覚化することができるようになりました。イケアは、消費者が実寸の家具やその他の製品をリビングルームに置いて、その空間でどのように見えるか、大きさが合うかどうかを把握できるようにしました。ファッション小売業各社は、オンラインの試着室を展開して顧客がバーチャルで試着できるようにしました。AR学習アプリは教育を実現してユーザーがヒトの心臓をバーチャルで探索したり、博物館や美術館ではARによるバーチャルツアーを行うこともあります。ARによる各地のモバイルアプリガイドを使用すれば、観光客は行かずして名所を認識し、それについて学ぶことができます。BMWはエンジン修理でARウォークスルーを展開し、住宅の購入者はホームツアーや選択したキッチンの快適性を視覚的に体験することができます。ARはすでに、人の暮らしのあらゆる側面で存在感を放っています。

AR導入を阻む要因

新しいモバイルテクノロジーが主流になるには、ユーザーが使っていることに気づかないほど使いやすく、いつでも使えて、信頼できるものでなければなりません。一般に対して実現するには、モバイルのARには依然として克服すべき障害があります。現実的なAR体験を創造するには、機械学習と起動させるために必要なバッテリーを改善する必要があります。実際、ポケモンGOを使ったことがある人なら誰でも、ARの使用によってどれだけ早く携帯電話のバッテリーが消費され得るかを経験しています。

OEMはできるだけスペースを維持して、重要なバッテリーテクノロジーを搭載できるようにしなければならず、そのため、マイクロミニチュアがAR革命の主役となっているのです。バッテリーテクノロジーにおける確実な革命はまだ実現していないため、スマートフォンの中の最大のコンポーネントが電源であるバッテリーでなくなるのはまだまだ先のことです。

コネクティビティはもうひとつの問題です。5Gの出現が、デバイスを効果的に使用できるようにするために必要なセキュリティとレイテンシーを提供することになります。5Gのインフラストラクチャと能力は世界中に拡大しており、携帯電話メーカーが4Gデバイスから5Gデバイスへと移行するにつれ、ARの機能とユーザビリティは向上するでしょう。そのため、私たちは5Gの革命ではなく進化となるはずだと確信しています。5Gデバイスがさらに普及するにつれ、デベロッパーは高まるコネクティビティを活かし、ユビキタスでシームレスなARを実現すると思われます。

補助的デバイス

もちろん、未来のモバイルデバイスは、特に拡張現実の面で現在のモバイルデバイスとは別のものになるでしょう。ARをハンズフリーで使用できることで、携帯電話と接続するタイプでも、スタンドアロンのデバイスのタイプでも、ヘッドセットやその他のウェアラブルなどのモバイルデバイスの導入が大きく進む可能性があります。しかしまず、克服すべき障害があります。例えば、ホロレンズのような現在のヘッドセットは、コストが高く嵩張るインクリメンタルハードウェアを必要とし、ユーザーは通常、ハンズフリーで拡張コンテンツを楽しむことを優先します。とはいえ、サイズ、重量、コストの低下と、アイトラッキング、ジェスチャーコントロール、音声コマンドなどのテクノロジーの改善で、非常に広範囲で導入されるはずです。

現在の携帯電話の機能を軽量で目立たないデバイスで再現できることは、スマートウォッチなどのその他のウェアラブルで証明されました。そのようなウェアラブルは、現在のように長方形のフォームファクターが、主なポータブルコンピューティングデバイスには必要なくなる未来へと進んでいます。

サプライヤーの機敏さがカギ

未来の携帯電話やデバイスがどのようなものになるのかは、誰にも分かっていません。そのためサプライヤーは、モレックスのような企業と積極的に提携し、正しいタイミングで正しいソリューションを得て、市場の需要を満たすイノベーションとエンジニアリングの能力を確実に備えることが得策です。携帯電話市場への最大のコネクターサプライヤーとして、モレックスはすでにその取り組みをリードしており、将来のデバイスに必要な研究開発・イノベーション・信頼性を実現しています。将来がどのようになろうと適応していきます。